華々しい最期だと聞いた。人類を守るための名誉の戦死だと聞いた。彼は軍人であるから、それは輝かしく誇らしいものであったということくらいはわかる。それでも私は、それでも私は軍人でないから、彼の死を嘆くことをやめられなかった。
「なまえ」
目を閉じれば昨日のことのように思い出される彼の声。優しく私の名を呼ぶ彼の声が大好きだった。ELSとの戦闘に向かう前、彼の言った言葉も鮮明に思い出せる。出撃前には決まって格好をつけたことを言うくせに、あのときだけは違った。
「これからの戦いは命を懸けたものになるだろう。私は死ぬやもしれん。だが嘆くなよなまえ、いつまでも泣いたりするな。私はなまえの泣き顔が苦手なのだ、冥府で延々となまえの泣き顔を見せられてはかなわんからな」
「無理だよ、グラハムが死んじゃったら私泣きすぎて死んじゃうよ」
「大丈夫、」
悲しみは海ではないからすっかり飲み干してしまえるさ。
ばか、うそつき。私はあなたが死んだ悲しみを飲み干すことなど出来ないのだ。