かわいい子には旅をさせるよりとことん甘やかしたい、と思うのが普通なのではないだろうか。叶うならばなまえの身の回りの世話を全て引き受けたい。何でも面倒を見てやりたい。そう思うのは至極、普通のことじゃあないだろうか。
「しかしだ新開」
俺の熱弁に尽八は眉間に皺を寄せた。
「新開は家事がからきしではないか」
「うん、そうだね」
そうなのだ。だから俺がなまえを甘やかしたいが為に出来る事なんて食後の歯磨きくらいしかないんだけど、
「……それはキモいぞ」
「そう?」

▼新開さんの甘やかし