体の奥底を容赦なく突かれるこの感じ。ぎゅうぎゅう押しつけられる熱に目眩がする。筋肉質な彼の体にしがみつきでもしないとどうにかなってしまいそうだ。口元からはしたない声を漏らす私に向ける彼の余裕のない表情。いつも飄々としてるくせに、と私は少しだけ悦に浸る。
「なまえ」
行為中は言葉数の少ない彼がこうして名前を呼ぶときは、キスの催促か体勢を変えるときだ。立ったまま事に及んでいる今彼が求めているのは私の唇か。
案の定、私が口を開けば彼は食らいつくようにキスを寄越してきた。壁にやられていた手が乱暴に私の頭を掴んで、角度を変えて。
「ん、慎也」
挑発するように舌を少し突き出す。慎也はそれに答えるようにちろちろと私の舌先を舐めた。そしてまた始まるねっとりとしたキス。絶え間ない律動。汗ばんだ彼の手が体中を撫で回す。嗚呼、今日も夜が更けていく。