彼女は僕のことを変わったと言った。優しくなったと。僕は変わろうとして変わったから、その言葉は純粋に嬉しかった。ただ、彼女は少しだけ寂しそうな、そんな気がした。
「誰にでも優しくできるようになったんだね」
皮肉めいた彼女の笑いに、僕も苦笑で答える。昔の僕が冷たすぎたのさ。そう言えば彼女もまた、そうねと苦笑で答えた。
「今の僕は嫌いか?」
「ううん、大好き」
そうだ、彼女は僕がどんな存在であれ愛してくれる聖母のような存在なのだ。たとえイノベイターであったとしても。彼女の柔らかな髪に手を伸ばすと、彼女はでもねと言葉を続けた。
「私にだけ優しかった、昔のあなたも大好きよ」
少し面食らった僕を見て、なまえはいたずらの成功した子どものように笑った。こういう子どもっぽいところは今も昔も変わらないようだ。
「ごめんねティエリア」
「何がだ?」
「私、嫉妬してただけなの」
トレミーのクルーのみんなに。彼女のその言葉に愛しさが膨らんで、僕は思い切りなまえを抱きしめた。