「相変わらず泣き虫だな」
涙が止まらない。誰のせいだと思ってる。そんな風に優しく笑わないで。あなたは優しすぎるの。
「こんなになるまで泣いて、」
刹那が私の泣き腫らした目に目を細めた。優しく頭を撫でて、優しく抱き寄せて。そのたびに私の心はぎゅうと締め付けられて、涙がこぼれてくる。刹那、刹那、どうしてあなたはそんなに優しいの。その余りある優しさを、どうして自分に向けられないの。
「もう泣くな、笑ってくれ」
「刹那が、刹那が自分の幸せを考えてくれるんなら…」
「お前の幸せが俺の幸せだ」
「馬鹿!!」
あなたと同じように、刹那の幸せが私の幸せなのよ。刹那が幸せにならなきゃ、私も幸せになれないじゃない。どうして一緒に幸せになろうって言ってくれないの。
そのとき。艦内に警報が響き渡った。敵襲だ。刹那がガンダムに乗ってしまう。私も、行かなければ。刹那が私の頬を撫でる。パイロットスーツ越しの、少しひんやりとした手。
「愛している」
だからもう俺の為に泣くのはやめてくれ。そして、生きろ。優しいキスが、私を戦闘に向かわせた。刹那、あなたも、生きて。あなたの幸せのために。