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なんとなく気まずいまま、ソファーに座りレポートを読む。
なんでもレポートの感想、あればアドバイスが欲しいらしい。
研究室までついてきて、しかもレイトンのレポートを読むなんて、何やってるのだろうか。
しかし、レポートは面白くて、ついつい集中してしまっていた。
そんな姿をレイトンが横で微笑んで見てたなんて知らずに。
「どうでしたか?」
読み終わったと同時に声が掛けられる。
すっかりレイトンのことを忘れてしまっていた。
「レイトン教授、レポートはとても興味深いものでした。ただ、ここは違う説もあります。その資料とも一度検討してみるべきかと…。」
それともきちんと比較検討すれば、このレポートは素晴らしいものになるに違いない。
「なるほど。その説は初めて知りました。それは検討してみるべきですね。」
初めて知ったということは資料は持っていないだろう。
確か、私の研究所にはその資料があったはずだ。
「その資料なら持ってますので、今度お貸ししましょうか?」
何も考えずに口から出た言葉だった。
今度貸す、ということはもう一度会わなければならないことなどその時は頭になかったのだ。
「ありがとうございます。」
にこっと笑ったレイトンに落ち着いたはずの心臓はまた、高鳴ってしまう。
「あ、博士…」
レイトンの手がいきなり私の顔に向かって伸びてくる。
そして、頬に手を添えられた。
「れ、レイトン教授!?」
だんだん近づいてくる顔に心臓は壊れそうなほどうるさい音を奏でて、顔が熱くなる。
思わず顔を背けそうになったとき、すっとレイトンが離れていった。
「博士、まつげついてましたよ。」
頬についたまつげを取るためだけの行為だったらしい。
ややこしい行動をするな!と叫びたくなる。
しかし、当の本人は何ごともなかったように紅茶を飲んでいて、文句を言う気力もなくなってしまった。
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