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「すみません、考え事をしていたものですから…」
いつの間にか時刻は昼になっていた。
夜が明けたことすら気づいていなかった自分をふがいなく思う。
「気にしないでください」
にっこりと笑うレイトン教授に心臓は激しく高鳴る
この間より酷くなったんじゃないかと思うほど。
手が震えるせいで紅茶の用意すら上手くいかない。
「紅茶とクッキーをどうぞ」
なんとか淹れた紅茶とクッキーを机に置いてソファーに座る。
変に思われてないだろうか。
「大丈夫ですか?顔が赤いですよ。」
恥ずかしくなってうつむくとぬっと影が私を覆う。
何事かと思って顔を上げるとレイトン教授の顔が
間近くにあって驚く。
後ずさるが、ソファーの背に邪魔されて叶わない。
どんどんと近づいてくる顔に思わず目を閉じる。
「うーん、熱はないようですね。」
どうやら熱を計りたかったようだ。
そうとわかり、なんだか気が抜けてしまった。
(キス…されるかと思った…)
そんなことしてくるはずないのに。
近づいてきただけでそんなことを思ってしまうなんて。
いったい自分はどうしたのだろうか。
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