trentatre
「クローンと言うのは遺伝子が全く同じ生物のことだよ。つまり、ユアン・カルヴァートとノア・カルヴァートは遺伝子的に全く同じ、ということになる。ただ、それはまだ夢物語の筈だ。」
わからない顔をしていた僕とレミさんの為に先生が説明してくれる。
その言葉にパチパチと拍手が響いた。
「さすがはレイトン教授、博識だ。ただ、夢物語とはらしくない。科学は進歩し続けている。」
フードで顔は見えないはずなのに不敵に笑っているのが、容易に想像できた。
確かに人の技術は日進月歩している。
今日は不可能だと言われていても明日には分からない。
「とはいえ、この技術が外に漏れるにはまだ早い。今、世に知られてしまえば混乱を招く。だから、壊してしまうのが一番だろう。」
「止めろ!!」
慌てたようにクラウンの後ろから出てきたのはカルヴァートさんだった。
庇うように機械の前に出る。
「それを残してどうする?」
冷たい声が飛ぶ。
「ダメだ!これは博士が残したものなんだ!」
必死に機械を守ろうとするカルヴァートさんに同情してしまう。
だけど、怪盗クラウンは壊すことを諦めるつもりはないようだった。
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