Boys, be ambitious

「ミズタニ……重くないのかい?」

目の前にいるミズタニは笑顔だが、その肩にはクイエートが後ろから覆い被さっていたのだ。
肩の上から手を首に巻き付け、ギュッと抱きしめている。
重いのかと聞くよりは苦しくないのか聞くべきだったかもしれない。

「はい?」

上機嫌のミズタニからは明確な答えは返って来なかった。
苦しがっていないようなので、これ以上は触れないほうがいいのだろうか?
ミズタニに聞いた途端にクイエートが後ろから不愉快そうにジーっと睨んでくる。

私は何かしたのだろうか?

めったに表情を崩さないクイエートがこうもあからさまに不機嫌な顔をしているのは珍しい。
誰かに抱きついたりしているのも。
しかも、されているミズタニは気にした様子もないのは、慣れているからではないのか。
二人は仲良いのだと結論付け、ミズタニと話を続ける。

クイエートはミズタニの肩に顔を埋めたり、腕を肩から腹に回し変えたりしていた。

「ねぇ、ミズタニくん。」

耐えられなくなってきたのか、クイエートがミズタニにちょっかいを出す。

「もうちょっと待って。」けれど、ミズタニは一言で宥めて相手にしていない。

「大丈夫なのかい?どこか行く途中だったのでは?」

そういえば、彼等が二人で歩いていたところを呼び止めたのだった。
何か予定でもあったのかもしれない。

「大丈夫です!」

いい笑顔で言い切ったミズタニに、クイエートの顔が更に険しくなる。

「……っ!?」

気づいたら目の前でミズタニとクイエートがキスをしていた。
ああ、彼等は付き合っていたのか。

クイエートに睨まれた理由をようやくわかった。
どんどんとミズタニの顔が赤くなっていく。
耳まで真っ赤になったミズタニがクイエートを突飛ばして、ようやく二人が離れた。

「くくくくクイエート!?な、なっ。」

パニックになっているミズタニを見て、クイエートが駆け出す。
一瞬見えた顔はなんだか泣きそうに見えた。

「す、すみません。レイトン教授。」

頭を下げるミズタニは哀れなほど赤い。
気にしないように優しく言葉を掛ける。

「私は構わないよ。それより追いかけなくていいのかい?」

クイエートが去った方を指すとミズタニは慌てたように一礼をすると駆けて行った。
その様子を見て、若いなぁと微笑ましく思う。



Boys, be ambitious



(若いっていいね)

END





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