uno
彼に初めて会ったのは、スコットランドヤードでのこと。
スコットランドヤードでの用事に奮闘している時だった。
「あの、レイトン教授ですよね?」
そう問いかけて来た彼は見覚えのない顔だった。
それもそのはず、数日前にこのタイニーロンドンに引越してきたのだと言う。
「レイトン教授のうわさは予々、とても素晴らしい方だと聞いています。」
とても礼儀正しく言う彼にとても好感を持てたのは間違いない。
これでも人を見る目はあるのだ。
「ありがとう、それで私に何か用かな?」
用も無しに話しかけてはこないだろう。
そう思いつつ、私は彼に興味を持っていた。
「ああ、すみません。デルモナ学長がレイトン教授のことをお呼びでしたので。」
そう言った彼はニコッと笑った顔が可愛らしかった。
だが、彼ともう少し話がしたくても時間がないらしい。
「また、お孫さんにでも問題を出されたのかな?すまないね、私はもう行くよ。」
踵をかえして、グレッセンヘラーカレッジに向かいながらも彼のことが気になって仕方ない。
だが、また会うこともあるだろう。
その時はもう少し話をしてみよう。
そう思うと次に彼に会うときが楽しみだった。
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