ventinove
走っても走っても、デスコールどころかカルヴァートさんにさえ追いつきそうになかった。
なんとかカルヴァートさんの背中を見失わない距離を保つ。
途中でいくつかの部屋を通りすがりに見かけたが、煩雑に実験道具らしきものが置かれているだけで、その中に人の気配はなく、まだクイエートさんは見つかっていない。
途中、一つの部屋を見つけたレイトン先生は立ち止まる。
「先生?」
「すまない。先に行ってくれないか?すぐに追いつく。」
そう言って先生が入っていった部屋は唯一綺麗に整頓された書斎だった。
クイエートさんを見つけたのかと一瞬思ったけれども、その書斎に人の気配はない。
ただただ本棚いっぱいの本と机があるだけ。
「わかりました、教授。先に行ってます。」
このままではカルヴァートさんを見失ってしまうと判断したレミさんが先生に一言断る。
「さ、行くわよ。助手2号くん!」
「僕は先生の弟子です!」
真面目な顔から一転、レミさんはからかうような顔になる。
英国紳士らしくなくても反論せずにはいられない。
まだ英国少年ですからいいですよね?
前に向き直ると、ちょうどカルヴァートさんの背中が廊下の角に消える所だった。
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