diciotto

床一面に広がる赤黒い液体。
光に反射するガラスの欠片。
その中に横たわるピクリともしない肢体。
目の前に広がる映像がぶれて、昔の映像と重なる。



「大丈夫ですか!?」

僕が見たのは部屋の前で立ちすくむ先生達だった。
僕の声に最初に反応したレイトン先生は、少し微笑んで部屋の中に入って行った。
その姿を目で追うと、赤い液体の中に倒れる人の姿が。
しかし、その人は先生が声をかけると自ら体を起こしたのだ。

「すみません。お騒がせしました。」

カルヴァートさんのお手伝いをしているというその人は、ワインのボトルを持ったまま転倒して気絶していたのだという。
赤い液体は割れたビンから流れ出たワインだったのだ。

「クイエート、大丈夫かい?」

クイエートさんは青白い血の気の引いた顔をしていた。
気分が悪そうにしている。

「大丈夫です。すみません、御手洗いをお借りしても?」

「もちろんですよ。」

カルヴァートさんに場所を教えてもらって、クイエートさんが覚束無い足取りで向かう。
ついていこうかと申し出たけど、断られてしまった。





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