sedici

またいくつかの庭園を見た。
たんぽぽが一面を覆い尽くしているものもあれば、浮き島から水が落ちて滝がいっぱいあるような庭もあった。
そのどれもがとても綺麗で、だけど、そのためにどこか現実感がなかった。

この間もカルヴァートさんはほとんどをクイエートさんの隣にいた。
腰に手を回している時もあれば手首を掴んでいることも。
とにかく、クイエートさんを放したくないようだった。
クイエートさんは嫌がってるようにも見える。
まるで、誘拐犯と嫌がりながらも脅されている為に逃げられない人質。
なんて考えてしまうなんて、僕も疲れてしまっているのかもしれない。

「さあ、皆さん。そろそろ我が屋敷にご案内致しましょう。お腹も空かれたでしょうし、食事も用意させましたので。」


食事、という言葉にレミさんの目が輝く。
歩き回って疲れてたし、お腹も空いた。

だから、だったのかもしれない。
何も疑わずについていってしまったのは。


END



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