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彗星を破壊することが出来た翌日。
クイエートはクルーズカフェでのんびりとした午後を過ごそうと向かっていた。
あんなことがあった翌日は何もしたくなかったのだ。
とはいえ、趣味は午前中に終わらせていたのだが。

「おや、クイエートくん。ここへ来ないかい?」

レイトン教授とルークくん、そしてレミさんが座っているテーブルの空いた席を勧められる。
断る理由もないので、その席に座った。

「クイエートさん、昨日はお疲れさまでした。」

そうルークくんが言ったのを皮切りにレイトン教授やレミさんからも次々に労いの言葉を掛けられる。
それが少しくすぐったかった。

「クイエートさんのおかげで彗星の事件は解決出来ましたし、後は怪盗クラウンだけですね!」

ルークくんの言葉にこの彗星事件のせいで忘れかけてた事件を思い出す。
クラウンを取り戻したことは聞いたが、その後はどうなったのだろう?

「先生、いろいろと調べてみたのですが、怪盗クラウンが狙ったものって全て曰く付きというか、持ち主に良くないことがおこるっていう噂だったみたいです。」

レミさんが手帳を見ながら説明する。
よくそんなことを調べられたなぁと思う。

「呪い……ですか?でも、そんなもの盗む必要はないと思いますけど。」

ルークくんの正直なコメントにレミさんも頷いている。

「サルマン家のことも調べてみたんですけど、10年前に当主が亡くなったことで滅んでますし。とはいえ、関係者となると多数で……。」

多すぎて調べられないと言うことだろうか。
確かに人一人でも多くの人が関わってるのに一族だとそれはすごい数だろう。

「サルマン伯爵の死因は?」

それまで紅茶を飲みながら静かに聞いていたレイトン教授が口を挟む。

「それが病死だったみたいで。先代当主と比べて穏和で人付き合いもよく、恨まれるような人ではなかったと。ただ、若くして亡くなっているので、先代の恨みはまだ、残っていたかもしれません。」

それを聞いてレイトン教授は顎に手を当てて考えこんでしまった。

「今まで盗まれたものについていた宝石は、今回のルビー、エピドート、マラカイト、アメジスト、オパール。」

レイトン教授が次々に言い上げて行くなかで、思いついたことを思わず口に出してしまった。

「……amore。」

僕がつぶやいた言葉に全員の目線が僕に向けられる。

「あもーれ、ですか?」

あの小さな声で発音が聞き取れたらしい。
さすがはレイトン教授の弟子だ。

「イタリア語で愛している、だね。あぁ、そうだったのか。メッセージジュエリーってことだね?」

そして、レイトン教授に至っては僕の考えまで分かってしまうのだから、少し恐ろしい。

「メッセージジュエリー?」

レミさんは不思議そうな顔をしている。
それが普通だと思いますよ。
あれだけでわかる先生がすごいだけで。

「宝石を並べてその頭文字で文にするんだ。」

先生がメモに宝石の名前を書いていく。

Amethyst
Malachite
Opal
Ruby
Epidote
『amore』

「なるほど。」

納得したようにルークくんとレミさんが頷く。
そのタイミングが同じで、少しおかしい。

「でも、普通は1つのアクセサリーになっているはずなんだ。レミ、もう一度調べてくれるかい?」

「わかりました!」

教授のお願いに元気よく答えたレミさんは早速調べに行ってしまった。
教授とルークくんも何かを調べるとかで行ってしまい、僕は念願ののんびりとした午後を手に入れる。
紅茶を飲みながら、ゆっくりとした時間を。

END


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