剣城と天馬
2012/03/19 12:37
※拓天←京/性悪天馬
「ねぇ剣城。今日お兄さんのお見舞いついてってもいい?」
そう上目遣いに聞く天馬に、剣城は黙り込む。男というのはどうして、この上目遣いに弱いのだろう。天馬も男であるが、剣城はこの天馬に淡い恋心を抱いているので、上目遣いも効果は抜群のようだ。
「ねぇ、いーい?」
なんて、変声期前の可愛らしい声で甘えられたら、それはもう断れる筈もない。
剣城は顔を逸らし、平静を装いながら呟いた。
「…勝手にしろ。」
「やったぁ!」
天馬は嬉しそうに笑った。なぜ天馬はこんなに嬉しそうなのか、もしかしたら自分と帰るのが嬉しいのか、そう剣城に誤解させる笑顔だ。
天馬は笑顔で葵たちの方へ駆ける。
「帰りに剣城と病院行くことになった!」
嬉しそうに報告する天馬に、葵何故か苦笑いだった。
「あんな誘い方して…天馬のメインはキャプテンでしょ?」
「当たり前だろー。でも1人で行くの寂しいじゃん。帰り道暗いし。」
剣城の前と違う言葉遣いで話す天馬に、葵の横で聞いていた狩屋は顔をひきつらせた。
「早くキャプテンに会いたいなー。」
周りが何を考えているかなんて気にしないように、天馬は1人浮かれていた。もう1人、剣城もまた落ち着かない様子だったが、それを見た狩屋と葵は憐れむような視線を向けていた。
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あざとい天馬ちゃん
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