神童と双子@
2012/03/26 00:24

※パロディ。松風双子設定。



天馬と天河は、双子の兄弟だった。顔形は瓜二つで、唯一他人が見分ける方法と言えば、項にほくろの有る方が弟の天河であるということだった。
また2人には神童拓人という義理の兄がいた。2人は幼くして両親を亡くしたのだが、孤児院で拓人の父に引き取られたのだ。その理由は、拓人が幼い頃に死んだ拓人の母親に似ているからだと語った。
双子と拓人は、いつも一緒だった。双子と拓人の年が1つ違いだということも理由の1つだろう。誰かが病めば、2人で看病し、治ればまた3人で遊ぶ。とても仲の良い兄弟だった。
しかし、仲が良すぎたのだ。ある日、天馬が夜中、トイレに目を覚ますと、拓人の部屋の明かりがついていた。気になって中を覗くと、天河と拓人は抱き合ってキスをしていた。天馬はその時、悟った。2人はもうずっと愛し合っていたんだと。天馬は、真夜中にも関わらず寝間着のまま裸足で家を飛び出した。

天馬には何がなんだかわからなかった。しかしとてつもない嫌悪感を感じた。天馬は気付いた河川敷に来ていた。3人でよくサッカーをした場所だった。そこへ来て漸く涙が溢れた。仲間外れにされていたことが悲しいのではなかった。自分もまた、拓人に焦がれていたことに気付いての悔し涙だった。天馬は声を上げながら泣き崩れた。

「…ここにいたのか。」

後ろから声がして息を止める。恐る恐る振り向くと、そこには息を切らせる拓人の姿があった。天馬は思わず立ち上がって逃げるように走り出した。が、拓人がすぐにその腕を掴んだ。

「驚かせて悪かった。秘密にするつもりは無かったんだ。言うタイミングがなくて…。」

申し訳ないように、精一杯天馬に気を使う拓人の言葉が、逆に天馬の心を痛めた。

「…っ…兄さん…離して…」

嗚咽混じりに抗議するも、拓人は聞き入れない。

「夜遅いから連れてこなかったが天河も心配している。帰ろう。」

そう言って、拓人は無理やり天馬を引っ張り家の方へ歩き出した。拓人の力に適わないと判断した天馬も、仕方無く歩いた。少し歩いてから、拓人が急にぴたりと足を止めた。天馬は泣きじゃくったまま顔を上げた。
遠くでサイレンの音がした。

「こんな時間に…」

拓人は不思議そうに呟いて、しかし気にしないように再び歩き出した。一方の天馬は言い知れぬ胸騒ぎを感じていた。家の前まで来た2人は、言葉を失った。住み慣れた家の一部が燃えていた。消防車と、パトカーと、救急車と、天馬が初めて肉眼で見るような車が家の前に何台も停まっていたのだ。燃えているのは天馬と天河の寝室のある辺りだった。
救急隊員に肩を抱かれた使用人が、ハンカチで口を押さえて涙を流していた。

「何があったんだっ…!天河は…!」

拓人は使用人に駆け寄ると、使用人は目を見開いた後、またボロボロと涙を零した。

「拓人さま…それに天馬さまも…!姿が見えないので心配していました…!」

「それより状況を説明してくれないか…!」

拓人の言葉にはっとすると、使用人は目を反らした。

「放火だそうです。犯人は、神童グループに対抗する企業の社員のようで…先程警察の方が捕まえて下さりました。天河さまは…先程消防隊の方に救助頂いて救急車で搬送されましたが…酷いお怪我をされて……名前をお呼びしても返事が…っ…うう…」

拓人はその場に崩れ落ちた。天馬は理解出来ずに固まっていた。
消防隊員たちの消火活動や騒ぎを聞きつけた近隣住民の声の喧騒の中、天馬と拓人の耳には音が入らなくなっていた。




その後天河の運ばれた病院へ行ったが、出遅れであった。動かない、焼け爛れた肌の天河を見た拓人は、泣くことさえ出来ずただ天河の手を握った。その姿を少し離れて見ていた天馬は、何故かその様子に嫌悪感を覚えた。



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これ拓天じゃなくてよくね?って思っても言っちゃ駄目。
TENGAの命名はカア子氏。せっかくだからギャグにしたかったのにドシリアス…
一応続き書いてます



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