龍崎と雅野
2011/12/24 20:30
急に佐久間コーチ(尤も、今はコーチではなく先輩と言ったところだが、佐久間先輩とは呼び慣れないのでコーチのまま呼ぶ)から連絡が入り、俺ひとりで帝国に来いと呼び出しを受けた。雷門に敗れ、帝国学園を追放されて以来、初めての呼び出しは、少なからず俺に驚きと不信感を与えた。俺は未だ、フィフスセクターに所属している。もしかすると何か脅されてフィフスセクターの情報を要求されかねない。俺は、充分な警戒をしながら、かつて自分が通った学校、そのグランドへ向かう。
「久しぶりだな、龍崎。」
そこには、自分を呼び出した張本人である佐久間コーチがいた。その表情は、何故か薄ら笑いを浮かべており、脅しをする風ではない。
「俺に、何か用ですか」
「お前たちが…いや、お前が居なくなってから、やはりあいつが元気なくてな。コーチとして、選手のモチベーションに関わる問題は解決しなくてはならないからな。」
そう言うと、佐久間コーチは鍵をくれた。これは確か更衣室の鍵だ。
「そこにお前のお姫様がなんで呼び出されたかわからずにいるはずだ。まぁクリスマスプレゼントだと思ってくれ。出るときは鍵、締めておいてくれよ?」
ひらひらと手を振って、佐久間コーチはグランドを後にした。
俺はすぐに更衣室に駆け込んだ。
「雅野…!」
佐久間コーチの言うとおりそこにいた俺のお姫様は、ゆったりとこちらを振り返って、信じられないと言いたげな顔をしていた。
「…龍……崎……?」
俺は何も言わず雅野を抱き締めた
Merry Christmas
For prince & princess
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