神童と天馬
2012/02/28 01:59
「お前をここに入れるのは2回目だな。」
神童は天馬を部屋へ入れるとソファへ腰掛けるよう誘導した。天馬はそのままソファへと腰を下ろし、隣へ座らなかった神童を目で追った。
「そうですね。初めての時は、おれが勝手に押し掛けてきちゃったんですよね。」
「ははは、そうだったな。」
あの日を思い出す神童の瞳は、懐かしさに優しく細められた。
神童はピアノの前に座ると、天馬の方を見つめた。
「…あの時お前は、どうして俺じゃなきゃいけないと言ったんだ?」
神童はずっと気になっていたことを思い切ってぶつけた。出会って間もない自分をあそこまで強く引き止めさせたものはなんなのかを知りたかった。
天馬も懐かしい気持ちになった。非常識でありながらも衝動に任せてしまったあの日を反省はしているが、悔いはない。今こうして優しい笑みを浮かべる神童が目の前にいるから。
「言いましたよね、去年の決勝戦の試合を見たって。勝敗指示のない本気の試合をしているキャプテンを見て、どうしてもこの人にパスを出したい、この人にならボールを託せるって、思ったんです。」
天馬はソファから立ち上がると、部屋に飾ってあるサッカーボールに触れた。
天馬はそれを持ち、神童の横に歩み寄る。
「キャプテンのプレーからは伝わるんです、サッカーが大好きって気持ちが。だからすきになったんです、キャプテンのこと。」
天馬は、にこりと口角をあげた。そして持っていたボールを神童に差し出した。
神童はそれを受け取ると、立ち上がった。
「サッカーしようか、天馬。これからも、ずっと。本気のサッカーを!」
「はい!」
2人はそのまま、同時に河川敷に向けて駆けだしていた。
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途中犯罪者みたいな言い回しが
倒置だらけのうざい台詞たちである
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