剣城と天馬
2012/02/12 11:35


「やったーー!!!」

そう言って、天馬は弾けたように剣城に飛びかかる。

「うわぁっ!!」

剣城は予想外のことに受け身が取れず、結果そのまま倒れ込んでしまった。

「やった!やったよ剣城!勝った!」

「松風っ!近い!それから重い!馬鹿退け!」

自分の上で暴れる天馬を必死に押し返す剣城だが、この喜びの雰囲気の中で突き飛ばせる程空気が読めないわけでもなく、なあなあに受け止めてしまう。
だが天馬はいきなり動きを止めると、まっすぐな瞳で剣城の顔を見つめた。

「あれ剣城、顔真っ赤…もしかして、」

剣城はドキッとする。天馬が好きだということに気付かれたんじゃないかと思うと硬直する。天馬は一段と顔を近付け、じぃっと剣城を見つめて口を開いた。

「泣きそうなの?」

「ハァ!?」

剣城は思わず声を上げた。だが同時に、天馬はぎゅうっと剣城を抱き締めた。

(ままままままつかぜがちかいっ……!!)

「泣いてもいいよ!!嬉しいもんね!!!」

天馬は勘違いしたまま剣城を抱き締め続け、茹で蛸のように真っ赤になる剣城を、狩屋が指差して笑った。

(狩屋あとで覚えとけよ……!!!!)







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