井出と湾田
2012/02/09 11:35


いつものメンツで円を作りながら、弁当を頬張る。いつものメンツと言うのは、湾田と、無理矢理三年の階から連れてこられた井出と、浪川と、浪川に勝手について来た喜峰と、喜峰について来た凪沢と海図と村上だった。この大人数で、弁当を食べるのは最早日課で、サッカー部を荒くれ者集団だと思っている他の生徒たちは、中庭の日の当たる場所を彼らに譲ることを暗黙のうちに了承していた。

「井出ちゃ〜ん、これ食べる?はい、あ〜んして、あ〜ん!」

「えっ、おっ…おう…」

こんなバカップルがいちゃついていようなど、きっと他の生徒たちは知らないだろうし、知りたくないだろう。今ここにいるメンバーには日常である。
そんな日常だが、村上はふと気になった。

「…お前らいつから付き合ってんだ?」

その質問に、湾田と井出は目をぱちぱちさせ、それから見つめ合い、首を傾げた。

「いつから……?いつからだっけ、井出ちゃん。」

「おおう…気が付いたら湾田が隣にいるのが当たり前だったな…そもそもお互いまだちゃんとした告白とかはしてないよな。」

その答えに、一同驚愕した。

「あの海王一のバカップルもとい夫婦が付き合ってないだと!!?」

「俺と浪川は既に付き合ってるのに!!?」

「ええええ!びっくりです!!」

浪川、喜峰、海図が順に声を上げる。湾田は照れたように笑って井出に抱き付いた。

「ん〜?じゃあ井出ちゃん、今から付き合う?」

「そうだな。みんなも見てるし、これで公認カップルだな。」

井出は湾田を膝へ乗せた。湾田は井出の肩に手をつくと、頬や目蓋、唇にキスの雨を注いだ。

「恋人になったからには浮気は許さないぜ〜?」

「すっするわけないだろ!オレには湾田だけだ!」

「だよね〜?もう井出ちゃんだいすきっ!」

ガバッと抱き付いて井出の胸板に頬擦りする湾田。井出はその頭を撫でながら頬を染めていた。

「なんだろう…すごく飯がまずくなった…」

「俺も……」

「浪川っ!俺たちもあれっ!やりたいと!」

「馬鹿、これ以上飯を不味くする気か。」

村上、浪川、喜峰、村上の順に声を上げて同時に溜め息を吐く。凪沢は必死に海図の目を両手で隠し、「あれは大人のキスだから見ちゃ駄目!」と言っていた。


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背番号で井出湾の日です
海王学園の化身組です〜
あんまり書かないけど、他校だと海王が一番好きな実花菜です。そして井出湾が大好きです。






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