神童と天馬
2012/02/08 01:54
なんとなく、眠れない。なんでかわからないけど、どうしようもなく不安になる。携帯を開くと午前2時。誰にも連絡なんか出来ない。そう思っていたら一通のメールがきた。こんな時間に来るのは迷惑メールだって思いながらメールを開くと、キャプテンだった。
[天馬、もう寝たよな?]
なんとなく、眠れない事実が急に運命っぽい気がして、おれはたまらずキャプテンに電話をかけた。キャプテンはすぐに電話に出た。
「もしもし…天馬?起きてたんだな。早く寝ないと試合に響くぞ。」
「キャプテンもですよ。」
「なんか…寝れなくてな。」
「おれもです。なんていうか、急にキャプテンが恋しくなったんです。」
「ふふっ、かわいいこと言うんだな。でも俺も、お前が恋しかった。」
キャプテンの声はいつもと違う気がした、いつもの凛々しいキャプテンじゃなくて、もっと、頼りない感じ。
「こういうの、なんかの前兆な気がしませんか?」
「例えば、何だ?」
「大地震とか」
「リアルなこと言うな。もし本当だったらどうするんだ。」
「もし本当でも、なんとかなりますよ。」
「意味がわからないぞ。お前らしいけどな。」
「ありがとうございます!」
「ほめてないほめてない。」
「あの、キャプテン…」
「なんだ?」
「明日の夜も、起きてたらこうして電話して良いですか?」
「ん?いいぞ。地震が来なかったらな。」
「地震が来なくても雷が落ちるかも、」
「あ、それ。南沢さんの前では言うなよ?落ちるとか。」
「あ、そうですね。気をつけます。」
「ああ。」
「キャプテン、」
「今度は何だ?」
「やっぱり明日キスがしたいです。明日、何事もなかったら、1日の終わりに。明日だけじゃなくて、この先ずっと、」
「天馬…」
「…電話じゃ不安です…会いたいです…」
「ばか、俺だって会いたい。だから早く寝て早く起きろ。それで少し早く集まればいい。そうだろ?」
「そうですね。なんか、寝れる気がしてきました。というか、寝ます!」
「そうだな、俺も寝るよ。お前に1秒でも早く会うためにな。」
「ふふ、じゃあおやすみなさい。夢に出て来てもいいですよ。」
「健闘する。おやすみ天馬。」
「はい、キャプテン。」
ぷつ、電話が切れると、少し心が穏やかになった。キャプテンも同じ気持ちなんだと思えば、心が貼れた。明日も明後日も、 キャプテンとキスがしたい。そのためにがんばる。
「おやすみなさい。」
おれは静かに部屋の電気を消した。
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実花菜寝れない 困った
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