天馬と神童
2012/02/07 22:05
※わたしの気持ち的には天拓で書いた。恋人でお泊まり
『…天馬…』
どこか懐かしい、おれの名前を呼ぶ声。その声にはおれを愛しむような優しさと包み込むような温かさがある。この声を、俺はずっと昔に聞いた。そう、この声は、
「天馬。てーんーま、起きろ。」
はっとして、咄嗟に体を起こすと、すぐ横にびっくりした顔をしたキャプテンがいた。
「い…いきなり起きるな!」
「すみません…あっ、キャプテン、おはようございます!」
「おはよう、遅刻するぞ。全く…何回呼んでも起きないんだな、お前は。」
「そんなに呼んだんですか?」
「10回は呼んだぞ。」
「すみません…」
しょげながら、キャプテンに頭を下げると、キャプテンは優しく笑ってくれた。それから、準備を手伝ってくれた。
(あの声…キャプテンだったんだ…)
何故か、引っ掛かって、準備をしながら考え込む。
(でも…あの声すごく似てた……)
あれはまるで、
(…お母さん…みたいな…)
懐かしくて胸が張り裂けそうになる。あれは母の声によく似ていた。もう何年も聞いていないけど、忘れない。
(お母さん、元気かな……)
「天馬。」
「はっはい!」
「手が止まってるぞ。」
「はい!」
おれはもしかして、この人にお母さんを重ねていたから、この人を選んだ?
(そういうのって、なんかちがう)
声の主がわかったのに何故か逆にもやもやした。
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天馬ママの声は斎賀様
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