美寿と天馬
2012/01/31 20:58
天馬は美寿の顔をまじまじと見つめる。端から見たらキスするのかという近さだが、美寿は紛れもなく男だ。
「なんだよ。ウゼェな。」
「美寿センパイ、すっごい睫毛長いですね!」
天馬は目をキラキラさせていた。
「なんだよ、羨ましいか?」
「えっ?…う〜ん…でもおれの睫毛がそんなに長かったらちょっと変ですよ。」
「じゃあなんでそんなに見てんだよ。」
「美寿センパイが綺麗だからに決まってるじゃないですか!」
(こいつ……)
美寿ははぁと溜め息を吐いた。それから天馬のおでこを指で弾くと、天馬から離れた。
「いたっ」
「好きでもねぇ奴に、あんま綺麗とか言うなよ。女なら誤解されてどうなるかわかんねぇからな。」
「美寿センパイのこと好きですよ?」
「そういう好きじゃねぇよ。馬鹿。」
美寿は天馬に背を向けると、帰っていった。
(女じゃなくても、誤解するだろ…くそっ)
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