南沢と天馬
2011/12/23 00:00
「なぁ…天馬。そのコロネん中どうなってるんだ?」
それは部活後のこと。天馬の着替えをじっと見つめる南沢を、周囲が(このスケベ沢め…)と思い始めた辺りで南沢が発した言葉が原因で始まった。
「こ…コロネってこれですか?…なんにもありませんよ…。」
髪を指され、これのことかと理解した天馬は、気まずそうに南沢から目をそらした。これが南沢の悪戯心というか、勘の良さに触れてしまった。
「目を反らしたってことは、何かあるな?」
南沢はニヤリと口角を上げ、するりと天馬の後ろへ回る。一瞬で背後を取られた天馬はすぐさま逃げようとするも遅く、そのまま腰に腕を回されて捕まってしまった。
「なにもないですよ!やめてください!」
天馬はじたばたと暴れたが、2つも年上の南沢には適わなかった。逆に抵抗することで南沢を煽ってしまったぐらいだ。
「何もないなら触ってもいいよなー?」
南沢の語尾には疑問符が有ったが、許可など取る前に天馬の両方のコロネ(?)を鷲掴みにした。
「やっ…南沢さっ…そんなとこ触ったら…出ちゃうっ…」
謎の喘ぎを始める天馬をよそに、南沢は驚きと好奇の表情を浮かべながら、天馬のコロネ(?)をわしゃわしゃと解していく。
「…!?、なんだこれ…」
南沢に髪の渦を解かれると、天馬のそこからは犬のそれにそっくりの耳が現れた。天馬の髪と同じ色の耳は、どうやらあのコロネの中に畳まれて無理やり仕舞われていたらしい。
「みっ…見ちゃだめですっ…!」
天馬は南沢の腕を力一杯振り解くと、耳を手で隠しながら南沢から離れ、キッと睨み付けた。
「お前…犬だったのか…」
南沢は面白がるように天馬に歩み寄る。天馬はじりじりと後ずさるがそこはもうロッカーだった。逃げ場を無くした天馬は観念したように頷いた。
「と、言うところで目が覚めたんだがあれは正夢か?だとしたら天馬には俺の犬になってもらうしかないな」
「よくわかんないですがおれの耳は今見えてる2つしかないですよ」
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