天馬とイシド
2012/01/30 15:35

※例によって天馬攻め
会話文中心


真っ白いシーツに横たわる、赤いスーツの人。寝てはいないみたい、目を開けたまま何も言わないで寝ころんでる彼の横に腰を掛けて、頭を撫でる。

「疲れてるみたいですね。」

「まぁ、な。」

イシドさんの返事はいつも短い。それがおれを愛していない証拠だけど、おれはそれでいい。だからイシドさんのそばにいる。イシドさんもそれがわかってておれをそばに置いてくれてる。

「…おれの前では、つらいって口に出して良いんですよ。」

おれはイシドさんに言ってみた。口に出して良いんですよなんて上からだ、本当は口に出して欲しい。甘えてほしい。だけどイシドさんは何も言わない。おれはイシドさんの横に寝転んで、イシドさんの背中に抱き付いた。

「…松風…くん…何をしているんだ…」

「もう少し、もう少しでおれたちが大好きなサッカー、取り戻せるんです。でも、ずっと戦ってきて、まだおれ、イシドさんの弱音聞いてないです…もっとおれを頼ってください…おれじゃ頼りないけど…!」

ぎゅう、と腕に力を込める。イシドさんが 好きだ。最初に助けてもらった日からずっと、ずっと好きだ。

「…違うよ松風くん…信じているから…私の弱音は聞かせたくないんだ…わかってくれ…」

「わかりません。」

「正直だな、嘘でもわかったって言ってくれないか。」

「いやです。…イシドさんはズルいです。そうやってすぐにはぐらかす。」

「そうだったかな…」

「またそうやって…」

イシドさんが起き上がって、するりとおれの腕から離れる。

「すまない…だが、とにかく君の気持ちには答えられない。」

そうやって言うとイシドさんは俺に背を向けたまま部屋を出てしまった。

「………やっぱりズルいです。」

残された俺の気持ちはやり場を無くしてさ迷った。






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