天馬と神童
2012/01/29 22:50
※天馬攻めのつもりで書いた
グラウンドの大きな木の陰。そこに木を背にする神童と、向かい合う天馬がいた。
「て、天馬…やっぱりやめないか…?なんか恥ずかしい…」
そう言って神童は目を反らした。天馬は不服そうに頬を膨らませると、上目遣いに神童を見つめた。
「えー。大丈夫です!これくらい、なんとかなりますから!」
そう言うと、天馬はぐっとつま先に力を込め、目を閉じて背伸びをした。
触れ合う唇。天馬はすぐに離すと、不思議そうな表情を浮かべた。
「あれ…変だな…味しない…何か間違ってたのかな…?」
どうやら『好きな人とのキスは甘い』をそのままに捉えていた天馬は、キスを甘いものだと思っていたらしい。ひたすら小首を傾げていた。
「キャプテン、もう一回…」
「天馬!」
天馬がリベンジしようとした刹那、神童は顔を真っ赤に、目には涙を溜めて叫んだ。
「グラウンド10周だ!」
「えぇっ!?なんですかいきなり!!」
「いいから行け!!!」
天馬はしぶしぶ走り出した。残された神童ははぁ、と溜め息をついた。
(俺にはあんなの甘すぎる…!)
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