天馬とイシド
2012/01/28 23:58

※天馬攻め




「あなたなんですね…海辺の資材置き場でおれを助けてくれたのは。どうして…」

そう考えた瞬間に思考がショートした。何か悪いものが彼を動かしていると思った。だから天馬はボールを蹴った。彼の腹目掛けて。

「…さ、行きましょう。」

ぐったりと気絶したイシドを抱え上げる。流石に小柄な中学生に大の大人を持ち上げることは出来ず、引きずりながら歩いた。

天馬は人気のない橋の下にイシドを寝かせると、その髪を撫でた。染めたのか少し傷んでいる。それでも元々繊細な髪質なのか、指で梳けばするりと流れる。
天馬はずっと彼に恋をしてきた。会いたいそれだけを考えてきた。だが今その恋い焦がれた相手はぐったりと意識を失っている。天馬は吸われるように、イシドの顔に自らの顔を寄せた。そして、重ねるだけの接吻をした。

「…なんで。」

憧れた人との初めてのキスは無味だった。天馬はぽつりと呟くと、もし彼が目覚めたらもう触れられない事実に涙を零した。






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