冬の天馬愛されNL祭@発端
2012/01/28 21:06
それは、部活が終わってみんなが着替えている間のこと。
「…デートしたい。」
急に茜さんが呟いた。私はなるほど、とすぐに理解した。
「茜さん、昨日のデート特集見てたんですか?」
「うん。わたし、ああいうデートしてみたい。」
そう、昨日の夜、バラエティー番組でアイドルが俳優とデートする、なんて企画がやっていて、それを見て私もいいなぁと思っていたけど、茜さんも見ていたみたい。
それを聞いた水鳥さんが身を乗り出して食いついてきた。
「へぇ、デートか。あたしも興味あるね。」
「やっぱり女の子はみんな憧れますよね〜。」
「わたし、天馬くんとデートしたい。」
茜さんの呟きに、私と水鳥さんは目を丸くする。
「「天馬!?」」
「うん。お買い物とか、付き合ってくれそうだし、かわいいものとか一緒に見れそう。」
茜さんがにっこり笑う。確かに、他のみんなよりも女子に近いというか、一緒に服を見たら「それ、スッゴくかわいいと思う!葵に似合うよ!」くらいサラッと言いそうかも。
(いけない、なに妄想してるんだろう私!)
頭を振ると、さっき考えたことは忘れようとした。そこへ
「葵たち、何の話してるの?」
ひょこりと私の横から顔を出した天馬は、キョトンと私の方を見た。
すると水鳥さんがその天馬の首に腕を回すと、がっしりと捕まえた。
「天馬!あたしらとデートしな!」
「ええええええ!」
急な提案に、天馬は声を上げた。その反応に対して水鳥さんは不満げだ。
「あたしらとじゃ嫌か?」
「いえ!!というか…あたし"ら"って…?ていうか何でおれ…」
「天馬くんに、わたしたち3人と1人ずつデートして欲しいの」
わたしたち3人とって、私何も言ってないのに参加してる…。何より天馬は困惑していた。
「え…でもおれ…」
「良いから返事は?」
「はいいいいいっ!」
水鳥さんに首を絞められた天馬は強制的にはいと返事させられた。
「決まりだな。まずは次の日曜、あたしでいいな?次に茜。最後に葵だ。」
「デートって急に言われても…」
「大丈夫。任せて。」
「はあ…」
ちらっと、天馬が助けを求めるように私に目線を送ってきた。だけど私だって、天馬とデートがしたい。こんなチャンス逃したくない。
「楽しみにしててね、天馬!」
天馬は乾いた笑みを浮かべていた。
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シリーズ化予定 気が向いたら更新
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