神童と天馬と猫
2012/01/23 21:39
※
拓天猫の続き
色々試したが、天馬とピアニシモは戻らない。俺が頭を抱えていると、心配そうに天馬(体はピアニシモ)が見つめてきた。
「にゃぁん!にゃぁっ!」
天馬は俺の服を爪を立てないで引っかいてる。
「『キャプテン、元気出して。きっとなんとかなりますよ!』だって」
「なんとかってなぁ…」
俺は深い溜め息を吐く。お前たちは良いかも知れないが、俺の理性が危機だ。
「ぼくはこうしてたくとに抱きつけるからずっとこのままがいいな〜」
ピアニシモが天馬の体で後ろから抱きついてくる。天馬の声で下の名前を呼ぶのは卑怯じゃないだろうか。
「…ピアニシモ、離れてくれないか。」
「えー!たくととてんまはいつも抱き合ったりちゅーしたりしてるのに?」
ピアニシモの言葉に2人同時に噎せる。
「…っ…み、見てたのか。」
「うん。まぁね。」
さらりと言うピアニシモを、天馬が引っかいている。元々猫のこういう仕草は好きだがやっているのが天馬だと思うと、興奮する。
「…天馬。自分の体に傷がつくぞ?」
そう言って天馬を抱き上げる。腕にすっぽり入るサイズになった天馬はおとなしい。
「てんまばっかりずるいー」
「いつも撫でてるだろ」
「うー」
天馬の手前、ピアニシモには素っ気なくしているが、本当は駄々をこねる天馬(正確には中身はピアニシモ)がかわいくて仕方ない。
とりあえずピアニシモの頬にキスを落とす。ピアニシモはガバッと腰に抱きついてきた。
「たくとぉ!すき!」
「これでしばらくおとなしくしてくれ…」
天馬の体が近くにあるのは良いが、天馬本人がすごく何か言いたげだ。なんとか機嫌を取りたくて顎の下を撫でるととろんと目をとろけさせた。今非常に木天蓼が欲しい。
「ふにゃぁ…」
猫の天馬を抱きながら、人間の天馬に甘えられる。なんて幸せだろう。俺はしばらくこのままで良いなんて思った。
この日、天馬を家で預かると秋さんに連絡し、天馬を泊めた。というかピアニシモを帰すのが不安だった。翌朝には天馬とピアニシモは元通りになっていたが、天馬が口を聞いてくれない状態は2週間も続いた。
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おれ以外にちゅーするなんて!
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