神童→天馬
2012/01/21 17:53
※神童←天馬を先に読んで下さい
最近、天馬を構えてない。ここのところ、練習がハードだし、夜はピアノのレッスンがあるから仕方ないと思うんだが、すごく寂しい。あまり、がっついてると思われたくないから、口には出せないけどもっと天馬に触れたい。
「天馬…」
口に出すと寂しくなった。しかも、横に居たピアノの先生がこっちを見ている。
「…あ…いや、その…」
「拓人さん、恋煩いですか?」
ニコニコと、女性であるピアノの先生は笑った。確かに間違ってはないが頷くべきなのだろうか。
「毎晩レッスンですものね。彼女さんに会いたくなりますよね。」
「いや…彼女とかそんなんじゃ…」
「うふふ、隠さなくて大丈夫。女の勘はお見通しですよ。」
この女性はこんなに人の話を聞かない人だっただろうか。言ってることが当たってる分怖い。
「じゃあ、今日のレッスンはここまでにしましょうかね。毎晩拓人さんも頑張ってらっしゃるから、1日くらい休みがあっても平気ですわ。」
ふふふふ、と先生は笑いながら部屋を出て行ってしまった。俺はただただ呆気に取られていたが、あの人の好意を無駄に出来るほど心に余裕はない。早く天馬と話したい。
震える手でアドレス帳を開く。すぐさま松風天馬の携帯にかける。
「もしもし…?」
唇まで震える。電話からはびっくりしたような天馬の声。
ああ、待たせてすまない、天馬。
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