南沢と天馬
2012/01/15 10:26


南沢は幼少期から病気がちだった。その為、学校を休むことも少なかった。それでも、卒業して良い進路に進んで欲しいという親の強い希望があり、内申点ばかり気にするのはそのためだった。



「ゲホッ…ゲホッ…」

「大丈夫ですか南沢先輩!」

「大丈夫だよ、いつものことだ。」

発作など日常茶飯事。いつ死ぬだろうとずっと考えてきた。半ば、自分の人生を諦め、悲観していた。そんなとき、天馬が現れた。天馬はまっすぐで、何にも屈しない強いこころをもっていた。すぐに惹かれた。自分にはない強さの全てをもっている気がした。一生に居れば、強さを分けてもらえる気がした。何より、天馬が生きる理由になっていた。


「俺はずっとこの発作の度に死ぬことを考えてきた。でも今は…なんでだろうな?お前がいると、もう少し…いやもっとずっと頑張れる気がする。」

南沢は、心配そうに顔を覗き込む天馬をぎゅうっと抱き締めた。天馬の体温は幼くて温かい。

「天馬…お前の為に生きてもいいか?」

縋るようにきつく腕に力を入れると、応えるように南沢の背中に腕を回した。

(こいつに出会ってから俺は、)
(何故だか死ぬことが怖くなった。)






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