南沢と天馬
2012/01/14 22:29


入試を終え、試験会場を出る。1月の日没後はどうしてこうも寒いのだろうか。マフラーに手袋にコート、それでもまだ寒い。はぁ、と白い息を吐きながら、南沢は校門を出る。

「南沢先輩っ!」

門の前に立っていた人がこちらを振り返る。南沢は迎え待ちの受験生かと思っていたがよく見ればそれは天馬だった。

「…お前…待ってたのか。」

「えへへ…気になって、先輩の担任の先生に場所と時間聞いて来ちゃいました。」

にへ、と柔らかく笑う天馬の肌は、街灯の薄暗い明かりでもわかる赤みを帯びていた。マフラーや手袋はしているがやはり寒そうだ。南沢ははぁ、と溜め息をついた。

「寒いの苦手なクセに、無理して風邪引いたらどうするんだ。」

天馬はきょとんとした。

「考えてませんでした。それに、南沢先輩を待ってるのは全然つらくなかったから…」

冷たい外気に触れて真っ赤になった頬を綻ばせる。南沢は見ていられなくてギュッと抱き寄せる。

「あーわかった。わかったから、俺んち行くぞ。俺を労いに来たんだろ?だったらお前を充電するくらい良いよな?」

南沢は天馬の耳元で余裕無さそうに言えば、肩でこくんと顎が揺れたのを感じた。南沢は天馬の手を握ると、早足で家へ向かった。



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センターお疲れSS




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