神童と天馬
2012/01/08 02:00


「うーん…」

もう30分以上、天馬は同じ問題に向き合っていた。天馬が見つめているのは中学の数学の問題集で、学校で出された宿題の範囲だ。

「天馬、一旦休憩にしようか。」

かちゃん、と神童が天馬に紅茶を差し出す。

「ありがとうございます。」

天馬が紅茶を口元へ運ぶと、ふわりといちごの香りがした。

「ストロベリーティー、天馬が好きかと思って、取り寄せてみたんだ。」

「いい香り!頂きます!」

紅茶を飲むと、口いっぱいにいちごの香りと砂糖の甘さが広がった。
天馬の大好きな砂糖たっぷりのミルクティー。

「やっぱり、キャプテンの淹れてくれる紅茶はおいしいです!」

「天馬の好みは把握してるからな」

ふっ、と神童が表情を和らげる。そして天馬に向けて手招きした。

「おいで、天馬。」

天馬は呼ばれるままに神童の隣に座った。なにをされるか予想がついていたから、自ら神童にすり寄った。

「キャプテン…」

上目遣いに、神童を見つめる。神童は片方の手を天馬と繋げ、指を絡める。もう片方は天馬の腰に回して、ぐっと力を込めると自分の方へと引き寄せた。

「数学なんて、簡単なんだ。」

そう言うと、神童は天馬の方へキスを落とす。

「ゆっくり、順を追って、答えを導き出せばいい。」

ちゅ、ちゅ、と頬、口の端、耳朶、あちこちにキスを落としながら少しずつ下げていく。そのたびに天馬はぎゅっと繋げた手に力を込める。

「大事なのは、丁寧に解いていくことだ。」

何度もキスを繰り返して、鎖骨あたりに届く。いつの間にかジャージのファスナーは開けられていた。

「キャプ…テン…」

「だから天馬、"これ"が終わったら、もう一度俺と一緒にゆっくり解き直そうな」

天馬はこくり、と頷くと、神童に体を預けた。






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