神童と天馬
2011/12/31 23:26

―今年は色々あった。こいつがやってきて、全てが変わった。風が荒れ地に花の種を運んだように、俺はこいつによって変わることができた。そう、松風天馬のお陰で。


「キャプテン…すみません、いつも帰ったらすぐ寝ちゃうんで…こんな時間まで起きてられなくて…」

うつらうつらとしていた天馬は、目をパチパチさせてなんとか起きようとする。俺たちは今、年末恒例のクラシックコンサートを聴いている。一番良い席を予約したが天馬には関係なかったようで、終始とりあえずすごいみたいな顔をしていた。ついでに今は眠そうだ。

「いや、寝てていいぞ、天馬。カウントダウンの前には起こすから。」

俺は眠そうな天馬の頭を自分の肩に軽く凭れさせた。

「すみません…おれがどうしてもキャプテンと年が越したいなんて言ったから…」

天馬は頭を預けながらも、目線をちらりとこちらにやり、上目遣いに申し訳ないような顔をした。

「いいんだ。俺も、出会えたこの年の最後を天馬と過ごしたかった。」

頭を撫でながら言うと、ふっと笑って天馬は目を閉じた。


―今年は色々あった。俺がこいつのまっすぐさに惹かれ、恋に落ちた。風が木を優しく揺すって、その実を地へと落としたように、俺はこいつに恋に落ちた。そう、松風天馬に。




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来年も再来年も末永く幸せでいてください



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