Good-bye,soccer!(アル天)
2012/04/20 12:03

※イナクロ1話を見てからお読みください。ディープキス表現有り注意。



初めて見た『彼』はモニター越しだった。モニターと言ってもリアルタイムではない、アルファが見た『彼』は過去を監視するモニターを通してだった。


苦しみうずくまる天馬を、アルファは見下ろしていた。モニター越しに何度も焦がれた瞳が潤んで、今にも雫が零れ落ちそうだった。

『松風天馬からサッカーを消す。』

それがアルファに課せられた使命の筈だった。だが、今のアルファにはそれは目的ではなくなっていた。否、それは新しい目的の『通過点』となった。

息を荒げ悶える天馬に、アルファは歩み寄った。反抗的な瞳が、アルファを捉えた。

「…っ…来るな…!」

「…NO、断る。」

絞り出したような天馬の声は弱々しく、アルファはその要求を受け入れなかった。

アルファは天馬の目前に立つと、その襟元を掴んで立ち上がらせた。初めて超至近距離で見るその『彼』は、モニター越しではわからなかったが睫毛が長く、肌は適度に焼けて健康的で、アルファの心を惹きつけた。

アルファはそのまま、馬の襟を引き寄せて唇を重ねた。不意打ちで半開きの天馬の唇から、器用に舌を這わせる。天馬は慌ててアルファの胸を押して離れようとしたが、頭痛のせいか力が入らない。そもそも体格が違うので、今の天馬の力はアルファの足元にも及ばなかった。
更に深い口付けを求めて、アルファの舌は天馬の舌へ絡む。天馬は舌を引っ込めようとしたが、アルファの舌を奥へ誘うだけになった。唇が密着し、互いに呼吸できなくなる。特に天馬は混乱状態にあり、どんどん苦しくなる。頭痛もあって、天馬の意識はぼやけ、何かに縋らないと立てなくなった。無意識に、天馬はアルファの腕に掴まっていた。
アルファは天馬の襟を片手で掴みながら、抜けきった天馬を支えるように腰に腕を回した。


遠くで、救急車のサイレンが聞こえる。
泣き叫ぶ母親の声を聞きながら、天馬の中の『大切なもの』の存在は薄れて始めた。そしてその場所を、快楽だけが塗りつぶしていった。




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アル天えろい
タイトル付きSS試作品です。




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