不知火兄弟と天馬
2012/04/15 08:30

広めのツインベットに、三人で寝転ぶ。ツインベットに三人とは言え、割と小柄な三人なので窮屈ではないはずなのに、兄弟はぴったりと天馬にくっついている。天馬の右側には幻一が肘をついて横になりながら天馬の脚を撫で、左側では影二が天馬の腕にしがみつきながら片手で天馬の髪を弄くっている。不知火に挟まれた天馬は仰向けに縮こまり、どちらを向けばいいか迷っているようだ。

「天馬かわいー。」

「かわいーね。食べちゃいたい。」

「ねー。」

2人がすぐそばでやりとりするのも、天馬には返しようがない。天馬は、この2人なら本当に自分を食べてしまうんじゃないかとさえ思いながら、おろおろと視線を左右に泳がせる。

「ふふ、さっきから挙動不審だね。」

「挙動不審だねー。大丈夫だよ、本当に食べたりしないから。」

安心させるように、宥めるように、幻一が天馬の頭を撫でると、天馬は幻一の顔色を伺った後、影二の方に尋ねた。

「本当?」

「本当だよ。」

「ていうか、普通そんな心配しないよ。天馬は面白いなー。」

「ほんと、天馬面白い。」

「あ…ありがとう?」

褒められているのか馬鹿にされているのかわからない言葉だが、嫌な気はしなかった天馬は2人の言葉を褒め言葉と受け取って、疑問符付きで返した。するとまた、2人がクスクスと笑うので困ったように眉を垂らした。

「…2人のが面白いよ〜。」

「そう?天馬は全然面白そうにしてないじゃん。」

「そうだね、どっちかって言うと困ってる。」

「確かにちょっと困ってるけど…」

困っているのが顔に出てたのかと思うと、天馬は眉間を押さえた。そして一瞬口ごもるような間を置いて、2人を交互に見つめた。

「なんていうか、2人に困らされても不思議と嫌じゃないから…」

「それって、天馬がマゾってことじゃない?」

「天馬マゾなの?」

「マゾ?なにそれ?」

「天馬マゾしらないの?」

「マゾって言うのはね、いじめられるのが好きな人だよ。」

「えええっ、おれ別にいじめられるのは好きじゃないよ!!」

天馬は慌てて訂正すると、目を伏せて俯いた。

「なんかね、2人は特別なんだ。」

「特別…」

「オレたちが…天馬の特別…」

2人は天馬の言葉を脳内で反芻し、互いに目を合わせた。そして同時に、天馬が見たことがないような優しい笑みを浮かべた。

「嬉しいね、影二」

「うん、嬉しい。オレたち、天馬の特別だって。」

「オレたちも、天馬が特別だよね。オレにとって幻一は特別だけど、同じくらい特別。」

「オレも、影二と同じくらい天馬が特別。」

「ありがとう、2人とも。」

天馬が微笑むと、2人は同時に天馬の片手を取った。

「天馬はずっとずっと、俺たちが大切にするから。」

「そうだよ。例え何があってもね。」

そう言って、天馬の手の甲に軽く口付けた。天馬は真っ赤になると、2人と交互に目を合わせてから、また俯いた。

「…なんかおれ…幸せ者すぎないかな…?」

恐る恐る聞く天馬に、2人は顔を見合わせた。

「幸せ者すぎるね。」

「ずるいね、天馬。」

「えええええっ!ごめん!どうしよう!」

「でも天馬だからいいんだよ。」

「うん、天馬が幸せなら俺たちも幸せ。」

「おれも、2人が幸せならもっと幸せだよ!」

「俺たち3人とも幸せ者だね〜。」

2人はまた天馬にぎゅっとくっつくと、自分たち兄弟以外と初めて共有する幸せを心地良く思った。

(ずっと三人でいれたらいいね〜)

(いいね〜)



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オチがない うまくまとめられていない…
スランプというかなんというか…絶不調です。これ書くのに一週間以上かかってます。つらい…。

不知火天好きなんですがあまり見ないですねぇ同志。




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