剣城と天馬
2012/04/09 18:34

例えば俺が「明日は晴れる」と言えば、確実に明日は雨が降るだろう。

「兄さんはサッカーが上手」
そう言った翌日に兄さんはサッカーが出来なくなった。

「母さんは優しい」
そう言った一週間後に、母さんは俺を罵倒した。

「兄さんのように立派な人間になりたい。」
そう言った一年後に、大好きな兄さんからサッカーを奪い、母さんからは責められ、誰からも嫌われる人間になった。

「サッカーって楽しい。」
そう言った数年後に、俺はサッカーで人を傷つけていた。

いつだって、俺の言う事は嘘になる。だから俺は、思っていることを口にしない。言ってしまえば、嘘になる。


「剣城、サッカー好き?」

「……さぁな。」

「剣城はどうして、本当のことを言わないの?」

「…俺が言えば…本当じゃなくなる。」

「じゃあ剣城、今からおれが言う言葉を復唱してみて?『俺は嘘吐きです』」

「『俺は嘘吐きです』。それがどうした。」

「今、嘘になった。ねぇ剣城、サッカー好き?」

「そんなもん、好きに決まって……あ、」

「ふふ、今日から剣城は嘘がつけなくなった。」

「はぁッ?」

俺の言った嘘は、今日から俺を正直者に変えてしまった。

「じゃあ剣城、おれのことすき?」

こいつの笑顔と俺の嘘で、これから俺は今まで以上に苦労することになりそうだ。



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剣城は何と答えたでしょう?(笑)



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