小さい頃からいつも霧野と一緒に過ごしていて、回りからは兄弟みたいなどと言われながら中学生になった。

背丈は昔は俺の方がちょっと上だったのに、気が付いたら霧野を見上げる形になっていた。

霧野には何でも話していたし、隠していても直ぐバレてしまって意味がないと分かっている。

だから、バレるくらいなら自分から話していた。

けど今の俺の考えというか、思いは霧野にバレてはいけない。絶対にだ。

バレたら最後、霧野とはもう後戻り出来なくなる関係になってしまう。

そんな俺の考えを霧野は無視して毎日俺に好きだと言ってくる。

三国さんが霧野は一人の男として神童の事が好きなんだろうと言っていたから、気持ちは同じなのだろう。

けど、俺は言えない言わない。男同士に抵抗は見付からないが、怖い。

何が怖いって言われると分からないが、兎に角怖いんだ。

自分の腕をギュッと強く握った。


「神童!!」


呼ばれると共に後ろからの衝突。

体勢が持ち直せずそのまま前に倒れた。後ろから来た奴は分かりきっているから、ゆっくり嫌な顔をしながら後ろを向いたらやっぱり奴で、ニコニコ笑って好きだぞと言う霧野がかっこよく見えて、顔が火照った気がして手で隠した。

霧野みたいな勇気が欲しい。

思いが恐怖じみた物に負けない強さが欲しい。

けど思うだけじゃ変わらない、そんなのは分かるのだけど俺は恐怖には打ち勝てないらしい。

だから、この気持ちは暫く秘密にしておこう。

いつか、言うことにしよう。



「なぁ霧野」

「なんだ?」

「いつか俺の思いを聞いてくれるか?」



勿論と笑顔で答える霧野を見てなんだか申し訳なくなったのを笑顔で隠した。