練習終了後、明と円堂、風丸、豪炎寺は雷雷軒を訪れて作戦会議となった。四人はカウンターに座り、それぞれラーメンをすすりながらこれからのことを話し始めた


「新必殺技もなしに、野生中とどう戦うんだよ」

「俺は、みんなを信じる。たとえ新必殺技が無くたっててやっていけるよ。思い出せよ。俺たちは、イナズマイレブンになるんだぜ」

『まぁ、大丈夫だよ、風丸!』


風丸は、円堂にラーメンが伸びることを指摘され、慌てて食べる。


「イナズマイレブンか……」

『おじいちゃんたち、どんな技を持ってたんのかな?』

「イナズマイレブンの秘伝書がある」


秘伝書の存在を、最初は軽く流す円堂と風丸だが、すぐに驚く。


『ひっ秘伝書!?』


響木は、円堂と明を見て豪快に笑った


「お前さん達は、円堂大介の。そうか、大介さんの孫か。」


秘伝書のことを聞こうとする円堂に、響木はお玉杓子を向けた


「イナズマイレブンは、お前さん達に悲劇を齎す。それでもいいのか」

「あぁ」


円堂と明の目はゆるぎないものだった。響木はその目を見て、口を開いた


「なら教える。秘伝書は、雷門中の理事長室内の金庫に仕舞われている」


それを知った円堂たちは、翌日の放課後、理事長室に潜入するが、夏美に見つかってしまった。秘伝書は、すでに夏美が取り出したあとだった。夏美の計らいで、秘伝書を入手した円堂たちは、部室に戻る


「暗号でかかれているのか?」

「それとも、外国の文字っスかね」

『いや、これね物凄い汚い字なだけだなんだ』


苦笑いを浮かべる明。そして誰も読めないんじゃ意味がないか!と風丸と染岡は円堂に怒鳴るが、円堂と明は秘伝書を解読していた


『守兄、凄いよゴッドハンドの極意って書いてる!』

「おっ、本当だ!!」


それを見た部員達は信じられない。という顔をしていた。


「円堂、明、お前ら読めるのか?」

「だって俺達、じいちゃんの特訓ノートを見てるんだぜ。確かに最初は、俺らも読めなかったけど、だんだんと読めるようになったんだ」

『まぁ、それ読むのにもかなり時間かかったよね』

「まぁな」


円堂は、高さに対応する必殺技を見つけ、それを全員に話す。


『守兄、これ…じゃない?』

「あぁ、これだな。イナズマ落とし」


ネーミングの格好よさに誰もがその技に期待し始めた。


「イナズマ落とし。読むぞ。一人がビョーンとなって、もう一人がバーンとなってクルッ。これぞ、イナズマ落としの極意」


極意を聞いた一同は、円堂を含めて目を点にしたりこけたりしていた


『流石おじいちゃん…感覚的だ…』

「円堂…お前のじいさん、国語の成績はどうだったんだ?」

「さぁ?だけど、サッカー一筋の人だったみたいだし……」


明達は、極意の宇宙語に苦笑いを浮かべていた。そして、鉄塔広場で練習していた雷門イレブンは、豪炎寺の言葉でイナズマ落としのやり方を理解していた。


『守兄、そんな不安定な足場で出来るのは…』

「あぁ、豪炎寺お前しかいない!」

「俺…?」


明と円堂は周りを見渡し、一段目に最適な人物を探す。そして…


「壁山か…!」


一段目に壁山、二段目に豪炎寺。ついにイナズマ落としの特訓が始まった。ジャンプ力のない壁山は身体をタイヤで固定し、ジャンプ力を身につける特訓が始まった。その特訓に円堂も付き合う。また、豪炎寺は不安定な足場でのオーバーヘッドを決めるため、風丸と染岡に協力を求めて、練習していた。それを、明は心配そうに見守っていた。

何度も、何度も。壁山と円堂も豪炎寺と風丸、染岡も特訓を繰り返した。そして、日が傾き、夜になろうとしたころ…


『守兄、壁山君…大丈夫!?』

「明…だっ、大丈夫だよ」


上からそのまま落ちてきた円堂に明は駆け寄る。隣では壁山が息を整えながら倒れていた。そこに秋が心配した顔で駆け寄ってきた


「もう止めなよ!壁山君一人に苦しい思いをさせたくないからって円堂までそんな事することないじゃない!」

「キャプテン、そうだったんスか!」


秋の言葉に壁山は諦めを感じた。しかし、そんな時、円堂は苦しい時こそ本当の力が出る!と思いっきり上へ飛び上がった。


「さっ、もう一回!」

「はいっ!…!!」


やる気が出た壁山がもう一度飛ぼうとしたそのとき、目の前にカタツムリが壁山の前を歩いていた。それに驚いた壁山は上へ一気に飛び上がる。その高さは、イナズマ落としに十分といっていい程の高さだった。

「凄いじゃないか壁山!今の感じだよ」

『壁山君、凄いよ!』


なんとか壁山の方の問題はいったん消え、次は豪炎寺。明は豪炎寺と風丸、染岡の元へと急いだ。明が付いたときには、豪炎寺はオーバーヘッドを成功させた瞬間だった。


『豪炎寺君、やった!』

「明…っ…」

『あっ!』


成功させた豪炎寺に明が近付いてきた瞬間、何か張り詰めていたものが途切れたように、豪炎寺は倒れてしまう。明は、豪炎寺が地面に倒れる前に支えていた。


『だっ大丈夫…?』

「あぁ、大丈夫だ」


風丸と染岡はすぐさま二人の元に駆け寄り明の変わりに豪炎寺を支えた。そして3人で喜びを分かち合っていた。そんな3人を明は少し羨ましそうな顔をした。


『風丸、染岡こっちに運んで』

「あぁ、分かった。」


木の幹に豪炎寺を座らせて、明は豪炎寺の手当を始める。


『ありがとう、二人とも!あっはい、これ!ちゃんと冷やしてね』


明は氷のうを風丸と染岡の赤く腫れ上がった腕にのせた。


「「いてっ!」」

『とっちゃダメだからね!次は豪炎寺君ね』

「すまないな、明」

『気にしないで。マネージャーの仕事だもん』


豪炎寺の傷付いた身体を明は丁寧に治療をする。


『いいね、男の子って…』

「明…?」

『あっ、ゴメン。何もないよ』


苦笑いを浮かべる明を不思議そうに豪炎寺は見た。その後数分した後、豪炎寺の手当てをした明は、風丸と染岡の腕の治療もし終え、サッカー部メンバーは集合していた


「よぉし、みんな!後もう一踏ん張りだ!野生中との試合はもうすぐだぞ!」

「「『おぉぉぉ!!』」」


一つの希望が見えてきた雷門イレブンはまた、絆が深まった。


【秘伝書はどこだ!】
野生中との試合…必ず勝つぞっ!


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