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(42)

「サッチ、ぁ……ちょ、や」
「嫌じゃねーだろ、ん?」



「…ぷ、今の台詞オッサン臭ェ!」
「うるせぇ悪かったなオッサンで」
「しかも寒ィよサッチ!ハハハハ!」
「雰囲気作りだ!台なしにしやがったな!文句あるならこうだっ!」
「うあ、ぎゃーっのサッチのドエス〜!」





(41)

「お前が風邪引くなんて珍しいなァ。明日は槍が降るぞ」
「るせぇよい。具合悪ィんだ、出てけ」
「ひど。せっかく飯と薬持ってきてやったのに」
「いらねぇ」
「食べないとよくなんねぇぞ」
「じゃあ後で食うから」
「とか言って食わねぇ気だろ。見え見えだバカ」
「…」
「食え」
「いらん」
「食 え」
「い ら ん」



「……どうしても言うこと聞けねーってなら…」
「っわ!何すんだよい!!」
「薬だけでも無理矢理入れていく!腰を上げろ!」
「ちょ、なんだいそれは!」
「座★薬」
「てめっ…!最初から目的はそれかい!やめろ!」
「やめろと言われてやめる奴がいるか!俺は海賊だ!」
「海賊は関係ねぇ!おいっ、ちょ、やめ…ッ!!!!」





(赤4)

「お前さ、意外と綺麗な顔してんのな」



「は、はああああっ!?!?!?!?」



「っ、いきなりでけぇ声出すなよ驚くだろ?」
「驚いたのはこっちだ!いきなり何言ってんだアンタ!」
「思ったことをそのまま言っただけだろ」
「!?」
「まぁ、エースも海賊にしちゃあ綺麗な顔してると思ったけど…俺はお前の方が好みだなぁ、ははは」
「な、なななな何言ってんだ!!このド変態!!」
「そんな変態に顔赤くしてんのはどこのどいつだ?ん?」
「っ!!死ね!!!」





(41)

「なんで眼鏡かけてんだい」
「あ?」
「お前視力バカみてぇにいいじゃねぇかい」
「バカは余計だバカは。ま、あれだ、俺様の魅力をより一層引き出すアイテムってやつ?」
「……聞いた俺が悪かったよい」
「つまんねぇ反応だな。なんだ、あまりに俺がイカしてるからって、照れ隠しか?」
「どうしたらそうなるんだい。この脳内花畑野郎」





(41)

「いっ…!」
「ん?どうしたよマルコ」
「いや、唇が切れただけだよい」
「え?どれどれ……ああ、本当だ、キレーに裂けてら」
「舐めときゃ治る」
「そうだな。おら、こっち向け。俺が治してやる」
「は?何言って……っん!?」



「これでよし、と」
「な、何するんだよい…!!」
「え?治療。これでもう痛くねぇだろ」
「い、痛ぇよい、ふざけるな!」





(41)

「なぁマルコ、俺決めたんだけどよ」
「あ?」
「こないだ見つけた悪魔の実、アレ食うのやめるわ」
「いいのかい?あんなに楽しみにしてたじゃねぇか」
「ああ、いいんだ。俺は人間のままでいい」
「どういう風の吹き回しだい」
「気づいたんだよ、俺は悪魔の実を食っちゃいけねぇんだってな」
「はぁ…?」
「やらなきゃなんねーことがあんだよ」
「意味がわかんねぇよい」
「はは、まぁ、気にしねぇでくれ」



(海に落ちたお前を守るのは、俺の役目だったのにな)





(41)

「明日には次の島に着くよい」
「おおっそうなのか!」
「船番は3番隊だよい」
「りょーかい。いやぁ楽しみだなぁ!美味い酒ねぇかな」
「俺も今回は仕事がないから上陸するよい」
「そうかそうか、じゃあお前もゆっくりできるんだな!」
「………」
「…ん?どうした黙って」
「………いや、別に」
「そうか?ならいいんだけど」
「…ああ」



「あ、そうだマルコ」
「なんだい?」
「着いたら船降りたとこで待っててくれよ。俺ちょっと親父に用があるから」
「ま、待っとけってお前、俺とどこか行く気かい?」
「あ?行かねぇの?」
「行くなんて一言も、」
「さっきのあれはデートに誘ってくれたんじゃねぇの?」
「で、デート、!?」
「いや、違うなら俺は別のやつと…」
「ち、違わねぇよい!!!待ってるからさっさと終わらせろよい!阿呆サッチ!!」





(14)

「おら、ハッピーバレンタイン。お前にもチョコやるよ」
「これ全員に配ってるやつだろい。バレンタインの意味わかってんのかい」
「わぁーってるよ。でも配ったって問題ねぇだろ」
「……」



「……おい」
「あ?……って、なんだいこれは」
「だから、チョコ」
「今くれただろい」
「それじゃ不満なんだろ?だからやるよ、本命」
「!」
「いっとくけどそれはお前にしか作ってねぇからな?」
「……サッチ、」
「これからも愛してるぜ?マルコ隊長」
「!!」





(41)

ごめんな。お前を置いていくつもりなんてなかったんだ。その、仲間と思っていたあいつがまさかあんな行動に出るなんて思わなくてよ。
お前の言う通りあの時さっさと食っちまえばよかったな、悪魔の実。アレがあればお前とまた肩を並べて歩けると思って、あの時はなんだかテンションがあがっちまったんだよなぁ。見せびらかしたりしなかったらこんなことにはならなかったか?はは、後悔しても遅いか、今更だよな。

最後の最後までお前には迷惑をかけた。泣かせないと誓った約束も早々に破っちまった。この先もずっとお前を守るつもりでいたが、どうやらもうそれも叶わねぇな。
謝れば許してもらえるような問題じゃねぇことくらいわかってる。でも実際は謝らなきゃいけねぇことばかりで、もし今お前に会えるなら本気で土下座したい。

昨日、意地悪してごめん。
(だってお前の顔があまりにイイもんだから)

先週、仕事の邪魔してごめん。
(構ってほしかったんだよ)

数年前、戦闘で死にかけてごめん。
(今はもう洒落になんねぇか)

いつもいつもお前を傷つけて、不安にさせて、挙句こんな結果を招いた俺は最低だな。
本当に悪かった。
耳を塞ぎたいなら塞いでくれて構わねぇ。行く前に、とにかく一言、言わせて欲しい。


ずっと愛してる
幸せな人生だった
ありがとう


それじゃあまた、数十年後に会おうな。
さようなら。





(41)


『悪かったなァ、その、先死んじまってよ』

そこにいるはずがないのに聞こえた懐かしい声に、反射的に振り返る。
当たり前だが広い砂浜には誰もおらず、視線を戻すと透明な波が足元を抜けていった。

波が去っていくと虚無感がやってくる。
そして次第に熱くなる目頭を指で押さえつけて、溜息をついた。

「……馬鹿か、俺は」

呟いた声は波音に掻き消された。
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