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丁度顔の横をぎらりと光る何かが通り過ぎたと思ったら、次の瞬間焼けるような痛みと温い紅に視界が染まった。


――やられた


決して油断をしていたわけではない。
相手の方が一段上だったか。


「…っく、」


痛みに耐え切れず思わずその場に膝をつく。戦闘中に膝をつくなど、殺してくれと言ってるようなものかもしれないが、立ち上がりたい意志とは裏腹に足は動いてはくれなかった。ぎらりと鈍い光を放つ刃は確実に俺を狙っている。


「ハハッ!死ねぇええ!!」


汚い罵声と共にそれは勢いよく振り下ろされ、俺の首を一気に切り落とした



はずだった





「サッチ!!」


首を切り落とされるであろう瞬間は数秒経っても訪れず、聞き慣れた声にきつく閉じていた目を開けると、そこには青い炎。


「マ、ルコ…!」
「何やってんだよい、早く逃げろ!」


不死鳥と化したマルコは俺に背を向け目の前の敵を次々に薙ぎ倒していく。足元には先程俺を殺り損ねた男であろう人間が、焼け焦げた状態で倒れていた。呆然としたままマルコを見遣ると、未だ目の前にやってくる数人の敵と戦い続けていた。両腕に青い炎を纏い、刀やら銃やらを装備した相手に素手で立ち向かう。刀が振り下ろされればその手で掴み、隙を付いて殴り飛ばす。発砲されれば避けることもせず蹴り飛ばす。マルコに与えられた不死鳥という能力は、斬撃も打撃も全て無効化してしまう鉄壁の守りだ。そして自然系とは違い銃弾をすり抜けないマルコの体のおかげで、マルコの後ろにいる俺は今まさにこいつに守られている。


「悪ィ…!」


仲間でありライバルであるこの男に守られるなど本来ならプライドが許さないが、今はそうも言ってられない。この激しい戦闘中に、手負いの人間は足手まといになるだけだ。俺はマルコの横を這うように抜けると、痛む患部を押さえながら船室へ走った。
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