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(12)

「俺、生まれて来なきゃよかったって、思ってたんだ」
「は?何言って…」
「ん、最後まで聞けって」
「…」
「この船に乗るずっと前のことだよ。俺が生きてる意味なんてあるのかって、そう思ってた。だけど…今は」

だけど、今は
掴みたい夢がある
成し遂げたいことがある

大切な家族がいて

大切な、アンタがいる



「…泣くなよい」
「泣いて、ねぇ…っ」



だって、

なぁ、マルコ

俺、幸せなんだ



「…なぁ、」
「あ?」

あの時、この船に――アンタに会わなかったら、きっと今の俺はいなかったよ



「俺、生まれてきてよかった」





(12)

「なに、これ?」
「見りゃわかんだろ、林檎だよい。お前が口内炎ができて何も食えねぇっつーから持ってきてやったんだよい」
「ああ、うん、ありがとう。でもそんなガッツリ固形物持って来られてもなぁ…」
「だからすりおろしてやるっつってんだ。それなら食えるだろい」
「うん、まぁそれなら食えそうだけど…。マルコ包丁握ったことないのに、大丈夫?俺やろうか?」
「馬鹿か、これくらい子供でもできるだろい。それとも何か、俺がやることに不満でもあんのかい?」
「い、いえいえ!ぜひいただきます」
「じゃあおとなしく待ってろい。……お前が少食だと気味悪ィんだ、早く治せ」
「あ、うん、ありがとう…(心配してくれてたのか)」


「痛、」
「あーあ…大丈夫?やろうか?(危なっかしいなぁ)」
「お前は寝てろい」
「…はーい」





(12)

「マルコってさ、死ねるの?」
「あ?どういうことだい」
「不死鳥ってことは、打たれたり切られたりじゃ死なねぇってことじゃん?やっぱ歳とるとか病気にかかるとか海に沈むとかしねぇと死なねぇのかな」
「何だ、お前は俺を殺してぇのか」
「そうじゃないってば。捻くれてんなぁ」
「まぁ、不死鳥だからといって不死身になるわけじゃねぇしな、そりゃ海に落ちりゃ死ぬだろい。何なら、エース、お前も似たようなもんだろい」
「似たような?」
「そんじょそこらの殺人道具じゃお前は死なねぇってことだよい」
「ああ、そっか。じゃあどうせなら死因はマルコと同じがいいなぁ」
「何不吉なこと言ってんだい」
「ずっと一緒にいたいって言ったんだよ、鈍いな。最期は海とか潜って心中しようぜ」
「遠回しすぎてわかんねぇんだよい。……ま、それもいいかもしれねぇけどな」





(21)
※若エース


「あんた…ちゃんと笑うんだな」
「…は?」
「一番隊隊長っていうくらいだから、もっと厳格冷徹鉄仮面かと思ってた」
「馬鹿にしてんのかい。俺だって血の通った人間だい」
「悪い悪い。でも、なんだ、」
「…?」



「笑った方が男前だな、あんた」



「……っ、よ、余計なお世話だい」





(12)

「マルコって体温低いよな」
「お前ぇが熱すぎんだよい」
「だって俺火だしよ」
「そんなこと言うなら俺も火だよい」
「あ、そっか。じゃあなんだ、赤い炎より青い炎の方が温度が低いってことなのか?んん…?」
「…ない頭で余計なこと考えてると知恵熱がでるぞい」
「余計なお世話だっ!……でも考えてもわかんねぇもんはわかんねぇよな。よし、サッチに比べてもらお」
「…何する気だい」
「どっちの炎の方が熱いか触ってもらう!」
「やめとけ。人間にはどっちも熱ィだろい」
「あ、そりゃ盲点」





(12)

「"俺のために死んで"」
「…はぁ?」
「って言ったら死んでくれる?」
「急に何言ってんだよい」
「こないだドラマでやってたんだ」
「…そういうことかい。あー、どうだろうな」
「え、死んでくんないの?」
「あたりまえだい。誰がお前のためになんか死ぬか」
「げ、言動に愛が感じられない!」
「愛って…」
「少しくらい迷うとかしろよなー」



「………ああ、ならこうするかい」
「ん?」



「俺がこの手でお前を殺してやるよい」
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