「サイテー!」
ぱぁん。
赤い紅葉が白澤の頬に出来上がった。
理由はもちろん、白澤の浮気である。
「いい気味ですね」
暗澹たる気持ちをさらに沈ませるようなことを言う。
「うっさい、お前に関係ないだろ!」
「いえ、貴方のその頬の物を見ると幾分か気が晴れるので」
そう言って上品に茶を啜った。
「くそっ」
何を言ってもどこ吹く風。
睚眥の眼差しでみてもにらみ返され身がすくむだけだ。意地を張れば金棒が飛んでくる。
――金棒に関しては、何もせずとも投げつけられるのだが。
「……は、そうは言っても羨ましいんじゃないの? お前って女っけ全然ないもん。モテないだろ」
「余計なお世話です。そんなことより薬を出しなさい薬を」
ピシャリと言い放つ鬼灯。
そういえば、いつもなら既に目も当てられないようなR-18Gになっているのだが、今日は鬼灯が大人しい。
「薬は桃タロー君が今奥でやってる。……あ、金棒だ。お前金棒どうしたんだよ」
「……修理中ですよ。亡者の阿責のしすぎで欠けてしまったので」
「金棒が欠けるって……」
そら恐ろしい腕力である。
ならばこの際諸々の仕返しでもしてやろうか、そう思うのが男の性。
「へー、ふーん。じゃあお前は今丸腰なわけだ」
「素手でも豚の一匹や二匹」
中指を立てた。
「これで充分です」