不意打ちにキス | ナノ
学校に行くと、前と同じように男子が集まって来た。こいつら、ほんと暇だな・・・と思ったのは言わないでおこう。
水野さんどうだったか、と聞いてきたから、遊園地楽しみだってさ、と伝えた。おお、と興奮しだす男子。南洋はレベル高いけど、やっぱ水野さんだよな。そう言うみんなを横目に席に着いた。今日は、柚子沙の学校早く終わるって言ってたな。けど、俺の学校は遅いからって言ったら千早に会いに行ってくるって言ってたっけ。窓から外を眺めたら、溜息が出てきた。

長い学校も終わって、校門に行くと何だかざわざわとしていた。数人の男子が固まりを作っている。まあ、俺には関係ないか。通り過ぎようとしていた時、俺の名前が呼ばれて、男子の群れから出てきたのは柚子沙だった。
・・・・・・って、は?なんでこいついるんだよ。


「・・・ずっと外で待ってたのかよ」

「うん。いつ終わるのか分かんなかったから」

「千早の所行くって…」

「あ、うん。行ったけど、開いてなかった」


どっか寄ってかない?そう言って柚子沙は俺の腕を掴んだ。
それから入ったお店は、いつも行く場所だった。席に着いた途端、柚子沙は太一いなかったらどうしようかと思った、と言って笑った。
・・・本当に、俺がいなかったらどうしてたんだ。今更になって、不安というか苛々というか、よく分からない感情が渦を巻くように俺の中に広がる。


「伊藤くん・・・?って子、今度一緒に遊ぶ子だよね」

「会ったのか?」

「うん。楽しもうね、だって」


伊藤くんって面白いよね、と笑いながら言う柚子沙。まあ、と返して店員を呼んで注文した。・・・早く違う話に変えたかった。
店員に注文を終えて何処かに行くと、柚子沙は怒ってる?と俺の顔色をうかがいながら言った。別に怒ってない。そう言うけど、ごめんね、と謝ってきた。


「別に怒ってない。それより親は大丈夫なのかよ」

「うん。お父さんには友達と遊んでくるって言ってる」

「・・・ああ、柚子沙のお父さん心配性だもんな」


俺といるって言ったら、きっと俺ボコボコにされそう。そう言うと、そうだね、と笑った柚子沙はさっきの表情とは変わって、凄く楽しそうだった。


笑っていてほしい
(・・・やっぱり、太一たちとが一番楽しい)
(・・・何かあった?)
(え?な、何でもないよ)
(ああ、そう・・・)


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