不意打ちにキス | ナノ
「お。真島、おはよーっす」

「ああ、おはよう」

「あのさ、俺ら見たんだけど・・・」


教室へ入るなりクラスの5人ほどが俺の所へ来て、興奮した様子で話はじめた。
一応聞くだけ聞こう。そう思って、なにと言うと南洋の水野さんと一緒にいたろ、と言われた。コイツら、どこで見てたんだ・・・。ポカンとしてると、どうなんだよ、と伊藤が言ったから、まあいたけど、と言った。どうせお前ら、紹介しろとか言うんだろ。と言うと話分かってるじゃんと返って来て、なんでか知らないけど、俺と柚子沙を含めて男女6人ずつで遊ぼうということになった。
女子のメンバーは柚子沙の南洋の友達、ってことになる。それを連絡すると、仕方ないなぁと返ってきた。




「たーいちっ!」


学校が終わっていつもの場所にいると、どんっと背中を押されてこけそうになったのを堪えた。もちろん押してきたのは柚子沙で、何すんだよと言ったけど、押しただけと聞かなくても分かることを言われて、イラッと来る。


「女子5人集まったよー。太一も来るって言ったらアッという間に!」

「はぁ?俺が来るって言ったのかよ」

「え、だって来るでしょ?」


キョトンと首を傾げた柚子沙から目を逸らして、まぁ行くけどと言うと、だよねと笑ってどこかへ歩き始めた。どこへ行くのか、今日は何にも知らない。それから少し歩いて行くと着いた先は映画館だった。今日カップル割引で安いんだよねー、と言いながら普通に入っていく柚子沙に戸惑いを覚えた。
は、え、カップルって、え、俺と柚子沙が?


「だからさ、カップルのフリしてよ!」

「・・・・・・・・・は?」

「太一もこの映画見たかったんでしょ?」

「・・・まあ、そうだけど」


結局、おまえはそういう奴か。


意識したのは一人だけ
(あ、太一。あの大きいポップコーンにしよう!)
(はあ?高いじゃん、絶対)
(カップル割だから安いよっ)
(・・・・・・・・・)


0223
太一の口調が迷子だ…!