不意打ちにキス | ナノ
(・・・・・・遅い)


携帯の時計を見て、もうここに来てから20分は経ってるのに、あいつはまだなのかよ。
大体自分がこの時間帯に終われるからとか言っておいて、俺のが終わるの遅いから出来るだけ早く来たのに肝心なあいつが来てないとか。もう電話するか。履歴を開くと一番上にある柚子沙へと電話をかけた。1コール、2コール、3コール・・・・・・6コールめでやっと出た。


「おい、お前どこにいるんだよ」

「え、目の前にいるよ」

「は?」


目の前って・・・。きょろきょろと回りを見て、ある店のウィンドウから携帯を片手に、南洋の制服でこっちを見る女がいた。
すぐに柚子沙のもとへ行って一発チョップをすると、痛いと大袈裟な反応をする。


「店の中かよ!」

「だって太一遅いんだもん」

「遅れるって言っておいただろ!」


呑気にケーキを食べる柚子沙の前に座って、俺も店員さんへ飲み物を一つ頼むとすぐに届いて、それを一口飲んだ。というか、こいつって本当にすぐどこか行って困る。はあ、と溜息を零すと幸せ逃げるよと言って苺を頬張る柚子沙。


「・・・太一、本当に髪の毛伸びたねー」

「ああ・・・、まあそこそこ」

「なに、モテたいの?」

「んなわけあるかバカ」


太一って南洋できゃーきゃー言われてるよ、といつのまにか最後の一口になったケーキを口にいれた柚子沙は俺にフォークを向けて、ニヤニヤと笑いながら何を言うのかと思うと、色男は困りますねぇと言った。


どうだっていい
(ねね、私のことなんか言ってない?)
(・・・あー・・・、・・・・・・何にも聞いてない)
(えー、よっちゃんは私がモテモテだって言ってたのに)
(・・・どうせお世辞だろ、)


0124
ちはやふる連載。
太一が好きだ!(どーん)いや、でも新も須藤さんも甘粕くんも好きだ!
・・・いやいや、やっぱ原田先生だ!(どどーん)