不意打ちにキス | ナノ
次の日、学校に行った日は伊藤や一緒に来てたメンバーに散々怒られた。俺は本当に睫毛を取ろうとしただけだ、という伊藤に申し訳ない気持ちになる。俺が帰った事を伝えた柚子沙も帰ると言い出したらしく、次々と女子が帰って行ったらしい。悪い、と何度も謝れば、伊藤以外の皆は仕方ないといった感じで諦めてくれた。


「…お前、水野さんの事が好きだったなら言えば良かったのに」

「悪い」

「俺は言ってくれれば、協力してたよ」


もう一度悪いと言えば、伊藤は窓の外を親指で指差して行って来いよ、と笑った。見てみれば柚子沙がいて、この前と同じように下校中の男子に群がられていた。少し目が合った気がして、ドキリと心臓が跳ねる。サンキュ、と伊藤に言って鞄を持って門の所へと向かった。男の群れを掻き分けて、柚子沙の手を取って静かな所へと向かう。


「…太一のバカバカ!」

「はあ?!お、お前より頭いいっつの」

「そういう意味じゃない!」

「じゃあ、なんだよ」


息を整え終わった途端に、ネクタイを思い切り引っ張られて柚子沙と唇がぶつかった。離れた時には真っ赤な顔の柚子沙がいる。きっと俺も顔が赤いだろう。
伊藤くんから聞いた。ぼそり、と小さな声で言って、瞳を揺らして真っ直ぐと俺を見る。


「私だって太一の事好きだよ…」


ぶわり、と上がってくる熱と気持ちの良い風。力が抜けてしまって、しゃがみ込むと柚子沙は驚いて俺に近づいてしゃがむ。背中に腕を回して強く抱き締めた。


離さないと誓った
(もっと早く言えっつの)
(だって太一は千早の事好きだと思ってたし)
(は?!千早は友達だ!)
(うん。だから嬉しい)


0112
長い間読んでくださった方、ありがとうございました。最後は急ぎ足になってしまい纏まりのない物になってしまい申し訳ありませんでした。中学生の太一をよく知らないんですが、一歩大人になって女子とかに優しそうだな、とか考えてモテる設定です。原作では彼女がいましたので。