放課後のシンフォニー | ナノ
放課後の音楽室は、少し騒がしくて楽しい場所。
今日もそこへ行って、ムギちゃんの持ってきたお菓子を食べるんですよ。ムギちゃんの家ってばお金持ちだから、毎日たっくさんのおいしいお菓子を貰うらしい。


「楓先輩、何一人で笑ってるんですか」

「あっ、あずにゃん。いやあ、今日はどんなお菓子かなって」

「いい加減練習しましょうよ!」

「やだなぁ、練習はするよ。お菓子食べた後にね」


つんつん、とあずにゃんの頬をつつくと、ふいっと顔を逸らして階段をスタスタと登って行った。ツンデレだな。全くあずにゃんは照れ屋さんなんだから!
私も急いでその後を追いかけてあずにゃんに抱き着くと同時に、紅茶の匂いとお菓子の匂いが漂ってきた。


「ちょ、先輩離れて下さいっ」

「えーちょっとくらいいいじゃん」

「・・・楓、梓が嫌がってるだろ」

「えー、じゃあ、澪があずにゃんの代わりー」

「な、なんでそうなるんだよっ!」


ぎゅーと言いながら澪に抱き着くと、澪はたちまち顔を真っ赤にしてやめろと叫んだ。もう、あずにゃんも澪も照れ屋さんなんだから。
自分の指定の席に座ると、ムギちゃんが紅茶とお菓子を目の前に置いてくれた。今日は、ケーキらしいです。


「わあ、楓ちゃんのおいしそう。ちょうだーい」

「じゃあ、唯のもちょうだーい」

「・・・・・・なんか、先輩たちって雰囲気とか似てますよね」


唯のケーキもおいしいなぁ。もぐもぐと口を動かしていると、私の目の前のあずにゃんはそう言った。


「あれ、あずにゃんには言ってなかったっけ?」

「何がですか?」

「私と楓ちゃんはいとこなんだよ」


唯がそう言った途端、あずにゃんは目を真ん丸にして、私たちを交互に見た。
まぁ、たしかにみんな最初はそんな反応だったなぁ。


「え、でも、楓先輩はアメリカの血があるんじゃ・・・」

「私の母親は日本人だよー。んで、唯の母親が私の母親の姉なんだよ」

「・・・そ、そうなんですか。それで・・・」


あずにゃんはパチパチと何度も瞬きをして私たちを見ていた。


驚きの
(梓、気持ちは分かるよ)
(私たちも最初は驚いたもんな!)
(でも、二人がいとこって納得できるわ〜)
(・・・・・・確かに、言われてみればそうですね)


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