マドレーヌと秘密 | ナノ
ロコの撮影現場に行った次の日の日曜日。今日は、ロコに案内するっていう約束の日だ。時間まで、まだ30分あるけどいいや。先に行っておこう。キャップ帽を被って、悠太たちに出掛けてくる、そう言って家を出た。
やっぱり日曜ってだけあってか、いっぱい人がいる。のんびり歩いていると、いつの間にか待ち合わせ場所の公園に着いていた。ロコはまだ来てなくて、まあ、まだ待ち合わせまで10分はあるし・・・。ベンチに腰かけて待つことにした。
だけど、いくら待ってもロコは来なくて、もしかしたら忘れているのかもしれない。それとも何かあったのかもしれない。不安になり始めていた。まるで彼氏みたいに。


「ごめん、祐希くん・・・!」


ふと聞こえた声の方向を見ると、走ってきたのか息が上がっているロコがジュースを片手に走ってきた。
遅れた理由は、雑誌の撮影があったかららしい。これでも早く終わったんだよ、ってへにゃりと笑うロコ。


「あ、そうだ。これお詫び」

「・・・オレンジ」

「うん」


ロコはきっと俺を子供扱いしてるんだろう。まあ、貰えるものは貰いますけど・・・。だけど、子供扱いって所がちょっと気に食わないっていうか、なんか…モヤモヤする。
取り敢えず何処か行こうってことになって、ロコに行きたい場所を聞けば買い物がしたいと言った。服を最近見れてない、と言ったから近くに若い人向けのお店があるからそこに行くことにした。・・・けど、そういや今日のロコ帽子被ってない・・・。


「これ・・・」

「え?あ、帽子貸してくれるの?」

「一応芸能人なんで、顔隠した方がいいですよ」


渡しながら言うと、一応ってなにー、って笑いながらそれを受け取って被った。

ロコが、俺の帽子を被ってる。そう思ったら、なんか・・・ドキドキした。


うるさい鼓動の音
(ん?どうしたの?)
(・・・・・・いや)
(ほら、行こう)
(・・・・・・)

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