マドレーヌと秘密 | ナノ
あの日、頬を赤くして帰ってきた祐希の様子がおかしかった。次の日、学校でも様子がおかしくて、ずっと携帯を気にしてるようで、おとなしかった。


「祐希」

「なに、悠太」

「自分が何かして気になるんだったら、きちんと言うべきだよ」


一人でいた祐希にそう言えば、珍しく頷いた。きっと、祐希も分かってるんだ。だけど、それを行動に移すのが難しい。それは俺だって一緒なんだ。祐希はさっそく携帯を開いて、誰かにメールをしている。
やっぱり弟が心配なんだ。俺は祐希が幸せになってくれたらいいと思ってる。 



「今日の祐希くん、ちょっと様子が変でしたね」

「もう大丈夫だよ」


あとは祐希次第だよ。部活中も祐希の心配をしてくれた春にそう言えば、分かりましたと笑顔で頷いてくれた。
大丈夫。だって、祐希は優しい子だからね。

しばらくして、祐希に置いてかれた、と千鶴が泣きついて来た。そんな千鶴に春は和菓子を出せばすぐに静かになった。


「あ!そう言えばさ、ロコちゃん明後日には帰るらしいよ!」


だから、明日現場に行こう!と騒ぎ出した千鶴。そうか、祐希の様子がおかしかったのは、これが原因だったのかもしれない。


お兄ちゃんの心配性
(ちょっと、ゆうたん聞いてる?)
(聞いてるよ)
(5人で行こうよ!)
(・・・そうだね)


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